肩が落ちる日曜日
ガムが潰れた階段、光沢のあせた手すり。
黒ずんだタイルをまたぎ、急行列車の風に煽られながらホームの椅子に腰を下ろした。
甲高いアナウンスも線路を削るような轟音も気に障る。
東京に生きて22年を迎えたというのに、身体も心も順応できていない。
鮮やかなスカートを着てる女性も、高い時計をつけたサラリーマンも、死んだ顔で生きている。
この車両の中で何割の人が今日を待ち望んでいたのだろう。
何割の人が明日を楽しみにしているのだろう。
何かを続けてどこかに着く。
目的地も目標もわかんないのに時間だけは過ぎていく。
今日食べた生命、カロリーを何に費やすべきなのかもわからず、今日も細胞分裂を繰り返す。
電車に揺られながら物思いにふけってたらもうこの世は灰色にしか見えなくなってきた。
生きてるのか生かされてるのか。
「飯田橋」を告げる声に連られて電車を降りる。
いち抜けた。